マイクロソフト創業者のビル・ゲイツが絶賛する“知の巨人”による世界的話題作。原著者はかつてのチェコスロバキア出身で、現在はカナダのマニトバ大学環境学部で名誉教授を務めており、世界屈指の思想家、統計分析の第一人者として知られる。本書の特徴は、微生物のようなミクロから帝国のようなマクロに至るまで、生物・無生物にかかわらず万物の「成長」を数値データを用いて壮大なスケールで解説していること。数字に基づいた事実だけを冷徹に積み重ねることで成長の限界を導き出し、「限りある地球で無限の成長はあり得ない」として「脱成長」を提唱する。上巻では成長の共通パターンを解説したうえで、病気を引き起こす微生物、作物の栽培、動物や人間の成長、エネルギー変換に関するデータを提示。また、下巻では人工物、都市の発展、経済や文明の進歩などの複雑な成長について論証。「生物圏の居住権確保のためには成長を優先すべきではない」という氏の主張の根拠が鮮明に浮かび上がる。2022年7月初版/上巻536ページ、下巻632ページ。

著者バーツラフ・シュミル
監訳田中嘉成(上智大学地球環境学研究科教授)
訳者三輪ヒナタ
分野エネルギー一般関連