朝鮮民主主義人民共和国のトップクラスの画家が集まって描く「集体画」の展示は、2018年に開催された光州(クァンジュ)ビエンナーレでひときわ異彩を放った。当時のキュレーターだった著者は、アーティストのアトリエ訪問やインタビュー、集められた資料を駆使し、平壌美術の最も核心的な部分であるこの絵画を含む朝鮮画について6年をかけて執筆。「朝鮮画」は、社会主義リアリズムの芸術の典型的な形態でありつつも、独自の表現方法を追求してきた。朝鮮半島に平和が訪れることを願う著者が、芸術家としての視点と学術的な研究の両面を踏まえてプロパガンダとアートの境界線上に存在する平壌美術の現在を描いた書。巻末に2018年の光州ビエンナーレでの朝鮮画展の展示にまつわる顛末を特別収録。2021年2月初版/全320ページ。

著者文凡綱(ムン・ボムガン、米ジョージタウン大学美術科教授)
訳者白凛〈ペク・ルン〉
分野東洋・日本画